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解散請求は最悪のポピュリズム 【世界日報・連載】第2次岸田再改造内閣の課題(4)

解散請求は最悪のポピュリズム 【連載】第2次岸田再改造内閣の課題(4)



2023年9月18日

改造内閣発足後の記者会見で岸田文雄首相は「最後に、旧統一教会について一言申し上げます」と前置きしてこう述べた。「この問題にしっかりとした結論を出すべく、最後の努力を進めてまいります。宗教法人審議会の意見も伺いながら、法に基づき、最終的に判断をしてまいります」


昨年7月の安倍晋三元首相の暗殺事件を受けて、自民党は世界平和統一家庭連合(旧統一教会、以後「家庭連合」)との関係断絶を宣言した。政府は、家庭連合の解散命令を視野に、宗教法人法に基づいて7回にわたり質問権を行使。質問へ一部回答しなかったとして、家庭連合に行政罰に当たる過料を科すよう東京地裁に通知した。


政府は家庭連合の解散命令請求を10月にも行う見込みで、過料の通知はそのための布石とみられる。これに対し家庭連合は、「そもそも質問権の行使自体、違法」との立場から、過料却下を求め、裁判で全面的に争う姿勢だ。


宗教法人法の定める質問権行使の要件は、法令違反を挙げているが、岸田首相は、昨年10月の国会答弁で、法令違反は刑事事件を指すとの見解を示したのを、翌日には民事も含むと解釈変更した。一夜にして法律の解釈が変更されるなど前代未聞の出来事であり、政治的な思惑が働いたとしか考えられない。


弁護士の若狭勝氏は、自身のユーチューブ番組で、「法律の適用条件にあっていないものを恣意(しい)的に進めてしまうということでは、いずれ自分たちにも跳ね返ってくる」と、この問題が日本の法治主義の根幹に関わると懸念を表明している。


同弁護士は「本当に旧統一教会がとんでもない法令違反とか著しく公共の福祉を害することをしていたのだとすれば、解散命令を裁判所によって出されて、宗教法人が解散することには全く異論はない」と断りながら、「暗に政治的な思惑、自民党が旧統一教会と完全に距離を置きましたということを表したいがために、無理無理でも宗教法人の解散命令の申し立てをするということではいけない」と警告している。


大衆民主主義の時代、政治を進めるためには、多少のポピュリズムも必要だろう。しかし、それは程度の問題であり、とりわけ外交や安全保障など国の存立に直結する問題、皇室、自由と民主主義、法治主義など国体(国のかたち)の根本に関わる問題で、ポピュリズムは絶対に避けなければならない。


内閣改造、家庭連合の解散請求は、衆院解散・総選挙に向けての環境整備の一環とみられる。解散時期についてはさまざまな見方があるが、いずれにしても、恣意的な法律解釈によって、特定宗教団体をスケープゴートにするなど、最悪のポピュリズムであり、法治主義、民主主義の根幹を崩しかねない危険をはらんでいる。


世界日報 9月18日第1面