【世界日報・連載】脅かされる信教の自由 ⑧ ⑨ ⑩
【連載】脅かされる信教の自由⑧ 第2部 地方議会への波紋 政治家に過ち正す責任
北九州市議会議員 井上真吾氏 (上)
【連載】脅かされる信教の自由⑨ 第2部 地方議会への波紋 故安倍氏に献花、社民除名
北九州市議会議員 井上真吾氏(下)
【連載】脅かされる信教の自由 ―安倍元首相暗殺2年の日本― ◆10◆
「首相のやり方は不公平」
取手市議会議員 細谷典男氏
今年1月に投開票された茨城県取手市議会議員選挙で、細谷典男氏は世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に対する人権問題を訴え、再選を果たした。後援会からは家庭連合について公約に掲げることを反対されたが、信念を貫き通した。4年前の前回は定数24のところ18番目だったことから、「危機感は持ちつつも、家庭連合に関する主張は一切隠すことなく有権者に届けた」。
獲得票数は、前回比1・9倍の2位で当選。「地方選挙では100票増やすのも大変だ」と話す細谷氏。「私の主張は否定されず、多くの支持を頂いた。取手では解散命令など必要ないということを市民が示してくれたと思っている」と喜ぶ。
これまで家庭連合と一切関わりがなかった細谷氏が、家庭連合に対する差別反対を主張するようになったきっかけは、2022年9月、ある市民が「家庭連合と議員との関係調査を求める請願」を出したことにさかのぼる。紹介議員は共産党の議員だった。
「私自身はマスコミが言うところの“接点”は全くなかった。議会活動をする中で私は両方の意見を聞くことを信条にしていたが、請願とは反対の意見が耳に入らず困っていたところ、知人を介して家庭連合側の意見を聞く場を得た。話を聞いてみると、家庭連合の人々はどう見ても請願にあったような『反社会』や『詐欺集団』には見えなかった」
マスコミ報道に対して違和感を持ったのは、「何か具体的な被害があれば問えばいいが、そういうことがない中でレッテルを貼っている」からだ。請願人に、「取手で被害があったんですか、困っている人がいるんですか」と聞くと、「確認したものはない」との返事だった。
「憲法第31条の罪刑法定主義を見れば、罪があれば罰するというのが日本の国の形だ。具体的な罪がないのに排除しようとするのは、憲法に違反している」
これについて市議会で議論した結果、圧倒的多数で細谷氏の意見が通った。議論を重ねた上で、請願に賛成したのは共産党の4人だけだった。「他の地方議会でも、きちんと議論すれば、どこでも取手と同じ結論になる」と確信する。
取手は起伏が激しい土地柄、水害がよく起こる。「水害が起こったとき、『ここは家庭連合の家だから助けません』と言えるのか」と訴える細谷氏は、議会で「市民と接するあらゆる窓口において、家庭連合に所属するということをもって他と異なる対応をするか」と問いただすと、当局から「そのようなことはあり得ない」という答弁を引き出した。
金沢市で信者の学生による雪下ろしボランティアが行政側に断られたことについて、細谷氏は「行政にとって大きな損失」と断言する。「行政は、市民の皆さんから協力してもらわなければやっていけない。家庭連合の関連団体は行政にとっても役に立つ有益な団体だと分かった以上、解散すれば損失になる」と言い切る。
一方的な意見だけを聞いて国会で被害者救済法案を提出して成立させたり、政府が教団に質問権を行使し解散命令を請求したことについては、「恐れ多いが、地方から『岸田文雄首相のやり方は不公平だ』と言いたかった」と強調。「『反社会』というレッテルを貼って社会から排除するというもので、全体主義に通ずる。この手法は本当に危険だ。芽のうちに摘まないといけない」。家庭連合に限らずどこでも標的にされる可能性があることから、今後も警鐘を鳴らしていくつもりだという。(信教の自由取材班)
@ほそや・のりお 1951年生まれ。茨城県立竜ケ崎第一高卒業後、明治大学文学部史学地理学科入学。71年、日本電信電話公社(現NTT)入社。2004年、取手市議会議員に初当選。10年、茨城県議会議員。16年、取手市議会議員(無所属)。現在5期目。
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