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第1回 RALLY of HOPE スティーブン・ハーパー 元カナダ首相 基調演説

スティーブン ∙ ハーパー(H.E. Stephen Harper)   カナダ前首相 (2006-2015)


スティーブン ∙ ハーパー カナダ前首相 100万希望前進大会 基調演説
2020年 8月 9日 韓国、清心平和ワールドセンターで行われた
神統一世界安着のための100万希望前進大会 基調演説全文


尊敬する前現職の指導者の皆様、
世界中から参加された内外貴賓の皆様、
そして、今回のイベントを主催された天宙平和連合の関係者の皆様、
天宙平和連合の大会に再び私を招待してくださったことに、心からの感謝の意を表します。


私は、過去二年間、韓国で行われたワールドサミットに参加してきました。それは、本当に驚くべき経験でありました。様々な国籍の、政界、財界、学界、宗教界等を網羅する専門家が集い、人類が直面する世界的問題について膝を突き合わせて解決策を模索する、このような場は世界的に見ても類例がないことです。参加した経験のある方であれば当然、その何ものとも比較することができない素晴らしい大会であったと感想を述べることでしょう。


まず最初に、天宙平和連合のトマス・ウォルシュ世界議長、マイケル・ジェンキンス世界会長、そして私の良き友人でもあるフランコ・ファムラロ、カナダ会長に、心からお祝いを申し上げます。また、韓鶴子総裁に心からの感謝の意を表します。韓鶴子総裁のビジョンと情熱なくして、現状況下においてこのような規模とレベルの国際会談は実現できませんでした。いま、人類は前例のない局面に直面しています。新型コロナウイルスのパンデミックは肯定的であれ、否定的であれ、人類の歴史に記される大事件であり、その影響は長く続くことでしょう。現在を生きる人々は2020年のパンデミックを決して忘れることはないでしょう。


多くの人々が今回のパンデミックを2008年、2009年の金融危機と比較しています。金融危機の際、私はカナダの首相を務めていました。ある面において、今回のパンデミックはその時を想起させますが、またある面において、当時とは大きな違いがあります。まず、今回の危機の方が深刻であるということが第一の違いです。今回のパンデミックは、保健上の災害であると同時に経済危機でもありますが、各々の問題の解決策が各国ごとに異なり、また互いに衝突しています。すなわち、多くの論評とは異なり、どの国が「上手く解決し」「正しく対応した」のか、あるいは「誤って対応した」のかが、誰にも分らないのです。前例のない危機であり、今後どのような結果がもたらすのか、誰にも分からないのです。


もう一点、金融危機と異なる点は、国際協力のあり方です。2008年11月、金融危機が始まって間もないころ、私は米国のホワイトハウスでブッシュ大統領が召集した会議に参加しました。その会議は、世界各国の財界の高位関係者と金融界の人々が集う場であり、危機発生後に初めて行われたG20の会議でもありました。その場で、我々指導者たちは数日間の苦心の末、金融危機に対する国際的な対応の基本的方向性を確認することができました。国家レベルで解決すべき問題は残されましたが、国際的協力体制の下、これ以上の損害を発生させうる行為を防止し、以後の国家間の協力関係の基礎を築きました。


しかし、今回は金融危機の時のような国際的協力体制がありませんでした。それゆえに、私たちはぶつかり合う貿易制限措置、旅行禁止措置、意味のない石油供給戦争、医療機器の確保戦争、そしてワクチン開発において優位を占めようとする競争等、いくつもの葛藤を目撃することとなりました。 こうした事は、一時的な混乱に過ぎないと申し上げたいのですが、現実的に国際的協力体制の不在は、様々な根本的な理由から生じていると言わざるをえません。


実際のところ、各種の国際機関は世界の強大国の主導と協力なくしては機能しません。しかし、現在、国際社会をリードする唯一の強大国は存在しません。米国はそのような役割をこれ以上望んでいません。これは単に、現在の米国政権のみの立場ではなく、特別な利益を得ることなく米国が負ってきた莫大な負担と責任に対する、米国民の憤りが原因となっています。中国は、別の理由によってその空白を埋めることができません。新型コロナウイルスのパンデミックに対する中国の初期対応のあり方一つ見ても、中国の国際的な信頼度の低さを説明する理由としては十分です。また、欧州連合は、金融危機以降に深刻化した内部分裂の解消に全神経が注がれています。そのため、国際的協力体制の不在はある意味当然の結果であり、こうした状況は国際社会の不安定性を増幅しています。


このような国際的協力体制の不在の中、世界が抱える問題はむしろ人々をさらに圧迫し、これまで以上に国際的協力関係に基づく解決策を必要としています。新型コロナウイルスのパンデミックと同様に、環境問題もまた深刻です。しかし、今回、私は特に世界経済の問題について話したいと思います。私は今年の3月から次の3点について、多くの場で語ってきました。その当時は議論の余地がある内容でしたが、現在では一般に受け入れられている内容であると思います。


第一に、経済の悪化への影響が過小評価されてきました。専門家たちは新型コロナウイルスのパンデミック初期とは違い、予測を修正して世界全体のGDPが最低でも5%以上落ち込むと予想しています。これは金融危機の時よりもさらに深刻な状況です。第二に、経済回復の速度が過大評価されました。 V字型の経済回復はあり得ないでしょう。世界トップクラスの経済大国においても、回復に最低2年はかかるでしょう。第三に、現在行われている各国政府による経済・財政介入は持続できません。すでに、金融危機の際の何倍もの資金が投入されており、これにより数年後には国家負債の増大によって、国民の期待とは逆に緊縮財政政策を取らざるを得なくなるでしょう。


また、いつかはこのパンデミックも終息するでしょうが、経済の低迷も長期化することが予想されます。その場合、パンデミックの間に形成された政治的連帯感が、むしろ、経済の低迷に対する怒りへと変わることでしょう。そして、国家の指導者たちは、こうした国民の怒りに直面する中で、その政治的地位を守ることに全力を尽くすことになります。特に、再選を願う人々の政治的地位は、深刻な危機に直面することになるでしょう。2008年と2009年も同様でした。金融危機の中で、その権力の座を守りきった政治指導者はそれほど多くありませんでした。そして、私は今回の経済危機は、それよりもさらに深刻なものになると確信しております。


その結果、指導者たちが保護主義、社会主義、強硬的な貿易政策など、比較的に選択すること自体は容易でも、その結果、より大きな弊害をもたらしかねない政策的決定をする傾向があるということも知っています。しかし、我々はゼロサムゲームをするよりも、相互の必要性を正しく理解し、共に相互繁栄することができる関係を構築し、共同の価値の実践のために力を注がなければなりません。このような目的の下で、本日の希望前進大会が行われております。ですので、私は今お話しした目標を、開かれた心だけでなく、開かれた目を持って皆様に受け入れて頂きたいのです。


例えば、私たちは保護貿易主義を避けるべきではありますが、ただ、輸出を中心とした成長戦略をとっている国々が自由主義貿易を行っていると単純に考えてはいけません。そのような政策によって、国内では自国民の雇用の機会が減少し、その製品やサービスが、自国の市場で販売できないような状況が続くことは望ましくありません。輸出中心の貿易戦略をとる国家は、そのように対応しなければなりません。


同様に、WHO、世界保健機関のような国際的機関が本来追求すべき公的大義よりも、一部の国家の政治的利益を優先する姿を目撃しているにも関わらず、国際機関が世界の公共の目的の達成のために無条件に役立つ存在であると思い込んでしまってもいけません。現状の国際的機関の内部改革を求めるか、私たち自らより良い協力の場を探さなければなりません。


最後に、一般市民の自由と権利の保障こそが、持続可能な繁栄と平和のために重要であるということ、そして、その事実を人類の歴史が示しているということを忘れてはなりません。自由、民主主義、人権、法治主義を無視する国家を、我々と同等の価値を共有している国家として認めることはできません。私たちが追求する価値について妥協してはならず、その価値のために闘う人々と共に歩むべきです。韓国、台湾、そして世界の数多くの国々の例によって理解することができるように、パンデミックに打ち勝つために権威主義的支配は必要でもなく、また望ましくもありません。


もちろん、私が今まで申し上げてきたことは、国際的協力関係を促進し、世界的な問題を解決すると同時に、大義なき者に共に抵抗しようという、とても無理な要求かもしれません。しかし、そのような国際的な団結をもたらすことができる団体があるとすれば、それがまさに、天宙平和連合であります。


ご傾聴くださり感謝いたします。


神様の祝福が皆様と共にあることを祈っております。