潘基文(パン・ギムン) 前国連事務総長
大韓民国国家機構環境会議委員長

潘基文
国連前事務総長、大韓民国国家機構環境会議委員長

歓迎の辞

尊敬する各国首脳、首相及び大統領夫人、そして、この場に参加された政界、宗教界、言論界、芸術界、財界、非政府組織、女性·青年団体など、150ヶ国以上から参加された社会各界各層、内外貴賓の皆様！まず、歴史的な今回の「共生・共栄・共義の神統一韓国のための希望前進大会」という貴重な場において、スピーチをさせていただくことを大変光栄に思います。

また、特にこのような貴重な大会を準備してくださった韓鶴子総裁に心より感謝申し上げます。 過去7年間、韓鶴子総裁は恒久的な世界平和と韓半島の平和統一の実現のために、世界の各界各層の指導者たちと連帯し、平和世界実現の方法を模索するための持続可能な運動を展開してこられました。

韓総裁の平和のための真摯なる努力によって 、去る2月にワールドサミット2020が成功裡に開催されただけでなく、アジア・太平洋ユニオン宣言支持及び大韓民国が新たな100年に向けた革新的包容国家として、韓半島経済平和共同体の形成に向けた意義深い大会となりました。

尊敬する各国首脳、指導者の皆様、今日私たちの住む世界は、世界平和を阻害する数多くの挑戦に直面しています。人間の傲慢さと物質的欲望に基づく領土紛争、宗教と人種の葛藤、激しい気候変動と地球温暖化、家庭倫理の崩壊などによって人間の尊厳性は失われ、自国の利益を優先する民族主義が蔓延し、人類の安全保障を脅かしています。私はこのような現実を身をもって経験しました。同じ民族同士が殺し合った悲劇である6.25動乱を経験し、外交通商部長官として外交業務を担当する中で、数多くの国際的な難問に直面しました。また、国連事務総長在任中にも195カ国の全会一致の下で可決されたパリ協定を促進する成果を挙げ、温室効果ガスの削減など気候環境問題解決に向けた重大な転換点となりました。しかし、まだ解決しなければならない多くの課題が残っています。特に最近の新型コロナウイルスは、人類の生存を脅かす深刻な問題となっています。

新型コロナウイルスが招いたパンデミックによって、人類を取り囲む環境はさらに悪化しています。中でも、相互に関連する4つの傾向についてお話したいと思います。一つ目は新冷戦へと拡大した米中間の葛藤です。この葛藤は世界的な影響を及ぼしており、その打撃はアジア地域において特に深刻です。第二に、民族主義と保護主義の拡大によって、多様性の尊重と国際的協力の雰囲気が後退しているということです。第三に、気候変動による危機であり、これは様々な次元で人類の安全を脅かしています。もし、私たちが一つの世界共同体として団結してこの問題を解決できなければ、人間の存在自体が脅かされることになるでしょう。第四に、グッドガバナンスと安定した社会の礎である倫理、価値、そして社会的資本の危機です。

このように、新型コロナウイルスによって加速した米中の新冷戦、排他的民族主義、気候変動、社会的資本の危機などは、自然環境が人類に送る荘厳なる警告のメッセージです。私たちはその警告に耳を傾けなければなりません。そして理性的慧眼と感性的能力によって、自然と共存するための実践的な方法を模索する必要があります。

尊敬する各国首脳、指導者の皆様！

新型コロナウイルスをはじめ、様々な世界的問題を解決することは、各国の政府だけでは困難です。NGOの役割が非常に重要です。人類がもし持続可能な開発目標のような国際的な目標を達成するためには、政府と民間の広範囲にわたる相互協力が必要です。より良い世界を築くためには、社会の各界各層を跨ぐ連帯が必要なのです。このような観点から見るとき、韓鶴子総裁が創立された天宙平和連合の業績全般に見られる、模範的な協力関係のモデルに敬意を表します。これは政治、宗教、学術、言論、経済、芸術、女性、若者など各界各層が協力する正しいモデルだと思います。私は天宙平和連合こそが世界の恒久的平和と共生・共栄・共義の神統一韓国建設の礎になると思います。

尊敬する各国首脳、指導者の皆様！

平和は、特定の個人や特定の国家だけの問題ではありません。平和は、私たち皆が望む念願であります。恒久的な平和は国家と民間の連帯と緊密な協力によって、さらに堅固なものとなります。これからは障壁を作るのではなく、橋を繋ぐ時です。私たちが力を合わせるならば、達成できない挑戦はなく、克服できない逆境はありません。 国籍、文化、人種、宗教、そして政治的背景を越えて、私たちは人類一家族です。互いに尊重し、共に歩んでこそ、世界平和と韓半島の平和統一は成し遂げられるのです。

もう一度、「神統一韓国のための希望前進大会」を主催された韓鶴子総裁に感謝の意を表します。 皆様の家庭に幸せと祝福が満ち溢れることを願っております。ありがとうございました。