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【世界日報】旧統一教会解散請求 政府の手続きは不公正


【宗教と政治】イタリアの宗教社会学者 マッシモ・イントロヴィニエ氏に聞く(上)

中露と同じ宗教弾圧

旧統一教会解散請求

政府の手続きは不公正


 政府が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令を請求する見通しとなったことを、海外の専門家はどう見ているのか。信教の自由擁護を訴えるためにこのほど来日したイタリアの宗教社会学者マッシモ・イントロヴィニエ氏に聞いた。


(聞き手=早川俊行、桑原孝仁)


 ――政府は解散請求に関して公正な手続きを取ったと思うか。


 政府が聞き取り調査をしたのは旧統一教会の反対派ばかりだ。政府の委員会(消費者庁の「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」)には全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の紀藤正樹弁護士のような長年の反対派が加わっていた。政府は極めて不公正なやり方で手続きを進めたように見える。


 ドイツは20年ほど前に、いわゆる「カルト」について調査する委員会を設置したことがある。私も証人として呼ばれたが、委員会はさまざまな立場の専門家から意見を聴取した。その結果、委員会の最終報告書は完璧ではなかったものの、非常にバランスの取れた内容となった。


 ドイツは米国やイタリアとは違い、伝統的に主要政党のカルト信者に対する態度が非常に厳しい国だ。そのようなドイツでさえも公正な調査を行っていた。


 ――政府が解散命令請求を出せば、安倍元首相を殺害した山上徹也被告の要求に応じることにならないか。


 そのような見方もできるが、そもそもなぜ山上被告が凶行に走ったかを問うべきだ。母親が2002年に破産し、山上被告は22年に安倍元首相を殺害した。この間に山上被告に何があったのか。これはまだ十分研究されていないテーマだ。


 山上被告はジャーナリストの鈴木エイト氏ら旧統一教会に反対する人々とソーシャルメディア上で交流していた証拠が幾つかある。旧統一教会を懲らしめたいという山上被告の意向だけでなく、山上被告を刺激した人々の意向も影響したと思われる。


 彼らが山上被告に安倍氏を殺せと言ったとは思わない。だが、犯罪行為を起こしかねない精神の弱い山上被告の敵意を刺激した。彼らに法的責任はないが、道義的責任はあるだろう。


 ――日本は中国の宗教弾圧や人権侵害に批判的だが、信教の自由を侵害する解散請求は日本の外交的立場にどのような影響を与えるか。


 私は中国をはじめ世界各国の信教の自由侵害を報告する「ビター・ウィンター」というオンライン雑誌の編集長を務めており、中国メディアを注意深くフォローしているが、日本の旧統一教会解散に関する記事をほぼ毎週見つけることができる。彼らは日本も中国と同じことをやっている、われわれの行為は正しいと証明された、カルトは弾圧されるべきだ、と主張している。ロシアの政府系メディアも同様だ。


 どの民主主義国でも特定の運動を解散させることは可能だ。ドイツは最近、メディアがカルトと呼んでいた組織を解散させたが、実際はネオナチの政治団体だった。しかし、裁判所が文化・政治・宗教運動の解散を宣告する場合、有罪が確定した刑事事件が1件ではなく複数あることを根拠とするのが普通だ。


 犯罪を起こしていない宗教団体を清算できるのは中国とロシアだけだ。(刑事事件で有罪判決を受けていない旧統一教会を解散させれば)日本はこれを行う最初の民主主義国となる。これは中露のプロパガンダを助ける一方、日本の国際的イメージに深刻な悪影響を及ぼすだろう。


Massimo Introvigne


 1955年6月、イタリア・ローマ生まれ。新宗教運動を研究する学者たちの国際ネットワーク「新宗教研究センター(CESNUR)」の創設者・代表。宗教社会学の分野で約70冊の著書と100以上の論文を執筆。中国や世界各国の信教の自由・人権侵害を報告するオンライン雑誌「ビター・ウィンター」編集長も務める。



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